「上場日に買う」は儲かるのか?——有名IPO 12銘柄とS&P500で調べてみました【SpaceX IPO前夜】

📊 SpaceX IPO(6/12)の前に

「上場日に買う」は儲かるのか?——有名IPO 12銘柄で調べてみました

IPOの抽選はもう締め切り。今からの選択肢は「上場日に市場で買う」です。過去の有名IPOを上場日に買った人は、その後どうなったのか。同じお金をS&P500に入れた場合と比べてみました。

2026年6月12日、SpaceX(SPCX)が上場します。公募の抽選はすでに締め切られ、報道によれば需要は売出株数の4倍超(注文総額 約37.5兆円/$250B超)。これから買うなら上場日に市場で買う=「初値」付近で買うことになります(初値=上場日に最初に付く価格。人気IPOでは公開価格より数十%高くなるのが普通です)。

「初値で買っても、いい会社なら長期で報われるのでは?」——私もそう思っていたので、調べてみました。過去の有名IPO 12銘柄を「上場日に初値で100万円」買っていたら、いま(2026年6月時点)いくらになっているか。そして比較対象として、同じ日に同じ100万円を S&P500(米国株インデックス)に入れていたらいくらか。

結果はこうなりました。

4銘柄
S&P500に勝った
8銘柄
S&P500に負けた
5銘柄
元本割れ

※元本割れの5銘柄は「S&P500に負けた8銘柄」の内数です。

数だけ見ると「S&P500に負けた」が多数派。でも Meta のように13倍になった銘柄もあれば、Robinhood のようにどん底からの大復活で勝った銘柄もあります。良し悪しを決めつける前に、12銘柄を1枚ずつ見ていきます。

※計算は初値ベース・概算。株価は1株あたり米ドル($1≒150円換算)、配当・税金・為替変動は除外——為替(Meta上場時は$1≒79円)も配当も S&P500 側に有利に働くため、含めると差はさらに開きます。現在値は2026年6月9〜11日時点、S&P500は約7,400で計算。銘柄は「IPO時の規模・話題性が大きかったもの」を成績の良し悪しに関係なく選定(Redditは直近の話題例、Aramcoはサウジ取引所上場ですが史上最大IPOの先例として収録)。


目次

💰 12銘柄の成績表(初値100万円 vs 同日S&P500)

Meta(旧Facebook)2012年上場
初値買い($42.05 → 現在$568)
→ 約1,350万円
同日S&P500なら → 約570万円
📉 途中最悪期:−58%(2012年9月・$17.55、100万円→42万円)。上場4ヶ月で「Facebookは終わった」と言われ半値以下に。ここで投げた人に13倍は来なかった
Arm Holdings2023年上場
初値買い($56.10 → 現在$305前後)
→ 約540万円
同日S&P500なら → 約160万円
📉 途中最悪期:約−16%(2023年秋・$47前後、100万円→84万円)。12銘柄で最も浅い谷で済んだ、AIブームの申し子
Reddit2024年上場
初値買い($47 → 現在$175)
→ 約370万円
同日S&P500なら → 約140万円
📉 途中最悪期:−21%(2024年4月・$37.35、100万円→79万円)。12銘柄で2番目に浅い谷。広告ビジネスに加え、上場後に「AI企業へのデータライセンス」という新しい収益源が花開いた
Robinhood2021年上場
初値買い($38 → 現在$89)
→ 約230万円
同日S&P500なら → 約170万円
📉 途中最悪期:−82%(2022年6月・$6.81、100万円→18万円)。「ミーム株ブームの残骸」と言われたどん底から13倍の完全復活。耐え抜いた人だけが勝てた、一番過酷な勝ちパターン
Uber2019年上場
初値買い($42 → 現在$70)
→ 約170万円
同日S&P500なら → 約260万円 🏆
📉 途中最悪期:−67%(2020年3月・$13.71、100万円→33万円)。コロナ底まで売られた。7年耐えてプラスにはなったが、インデックスに完敗
Alibaba2014年上場
初値買い($92.70 → 現在$128)
→ 約140万円
同日S&P500なら → 約370万円 🏆
📉 途中最悪期:−41%(2015年9月・$54.50、100万円→59万円)。「当時世界最大のIPO」を12年持って+40%。S&P500の半分以下のリターン
Saudi Aramco2019年上場
初値買い(SAR建て・概算)
→ 約103万円
同日S&P500なら → 約240万円 🏆
📉 途中最悪期:−37%(2020年3月・コロナ底、100万円→63万円)。SpaceX以前の「史上最大IPO」は、7年でほぼトントン。超大型IPOは跳ねない、という先行例
Snowflake2020年上場
初値買い($245 → 現在$240)
→ 約98万円
同日S&P500なら → 約220万円 🏆
📉 途中最悪期:−56%(2024年9月・$108.56、100万円→44万円)。直近の決算好調で回復したが、それでも初値組は5年半持ってようやくトントン
Airbnb2020年上場
初値買い($146 → 現在$125)
→ 約86万円
同日S&P500なら → 約200万円 🏆
📉 途中最悪期:約−44%(2022年・$82前後、100万円→56万円)。コロナ禍の旅行株として期待が集中。事業は順調に成長したのに、初値組は5年半持ってまだマイナス
DoorDash2020年上場
初値買い($182 → 現在$154)
→ 約85万円
同日S&P500なら → 約200万円 🏆
📉 途中最悪期:−77%(2022年11月・$41.37、100万円→23万円)。フードデリバリーの定番として事業は成長を続けたのに、初値組は5年半でまだマイナス
Coinbase2021年上場
初値買い($381 → 現在$153)
→ 約40万円
同日S&P500なら → 約180万円 🏆
📉 途中最悪期:−92%(2023年1月・$31.55、100万円→8万円)。クリプト冬の底まで売られ、BTC安に連動して現在も初値の4割。5年経って−60%
Rivian2021年上場
初値買い($106.75 → 現在$15)
→ 約14万円
同日S&P500なら → 約160万円 🏆
📉 途中最悪期:−92%(2024年4月・$8.26、100万円→8万円)。上場1週間で時価総額がフォルクスワーゲン超え→そこが天井。「次のテスラ」という期待だけで買うとこうなる、という実例

※🏆 = S&P500の勝ち。Saudi Aramcoはサウジ取引所上場のため現地通貨ベースの概算。Alibabaのみ2026年5月末値(他は6月9〜11日値)。


🤔 数字が教えてくれる3つのこと

① 「長期で持てばプラス」でも、インデックスには負けている

Uber +70%、Alibaba +40%——単体で見れば「悪くない」ように見えます。でも同じ期間、同じお金を S&P500 に入れていたら2.5〜3.7倍。話題のIPOを買って何年も暴落に耐えた結果が「インデックス以下」というのが、12銘柄中8銘柄の現実でした。

② 途中の谷が深すぎて、ほとんどの人は持ちきれない

12銘柄の「途中最悪期」を並べると:−92%、−92%、−82%、−77%、−67%、−58%、−56%、−44%、−41%、−37%、−21%、−16%

見ての通り、12銘柄すべてが「初値で買った人が含み損を抱える時期」を経験しています。例外はゼロ。最も浅かった Arm ですら −16%、勝ち組の Meta も −58%、同じく勝ち組の Robinhood は −82%。「初値で買って一度もマイナスにならなかった銘柄」は、この12銘柄には存在しませんでした。チャートの右端だけ見て「持っていれば勝てた」と言うのは簡単ですが、谷の中では、それが Meta なのか Rivian なのか誰にも分かりません。

③ 初値は「期待の最大値」が乗った価格

上場日は、メディア露出も期待も最高潮。初値にはその期待が全部乗っています。

  • Airbnb:初値が公開価格の2.1倍に跳ねた → 事業は順調なのに、初値組は5年半でまだ−14%(当選組は+84%)
  • DoorDash:初値が公開価格の1.8倍 → 同じく初値組はまだ−15%(当選組は+51%)
  • Snowflake:初値が公開価格の2倍 → 初値組はトントン(当選組は+100%)
  • Robinhood:初値が公開価格と同じ$38(跳ねなかった)→ 12銘柄中4つしかない「S&P500に勝った」銘柄のひとつに

初値が大きく跳ねた銘柄ほど、その後の成績が悪い。会社の良し悪し以前に、「いくらで買ったか」で勝負の大半が決まっていました。


🚀 6/12、SpaceX を初値で買うか

SpaceX(公開価格 $135 固定・評価額 約270兆円/$1.8兆)の直前情報を整理すると——報道によれば需要は4倍超(注文総額$250B超)で、機関投資家の注文受付は6/10に終了。需要過熱は「初値が公開価格より大きく上に飛ぶ」可能性を示唆します。Airbnb や DoorDash のパターンを踏まえると、ここは慎重に見たいポイントです。事業面では Falcon 9 と Starlink(加入者約1,000万人)という稼ぐ事業を持つ点が Rivian とは別物ですが、Starship が FAA 調査で運用停止中という不安要素もあります。

もし6/12に初値で100万円入れたら——4つのシナリオ

SpaceX が過去の4銘柄と同じ軌跡を辿った場合、初値で入れた100万円はこうなります(予測ではなく、過去の実例をそのまま当てはめたシナリオです)。

Meta 型を辿れば
事業が本物で成長が続いた場合(約14年)
約1,350万円
ただし途中 −58%(→42万円)の谷
Aramco 型を辿れば
超大型ゆえ動かない場合(約7年)——サイズ的には一番ありそう
約103万円
途中 −37% の谷
Airbnb 型を辿れば
需要過熱で初値が跳ねすぎた場合(約5年半)——今回の需要4倍超が気になる点
約86万円
途中 約−44% の谷
Rivian 型を辿れば
期待が崩壊した場合(約4年半)
約14万円
途中 −92%(→8万円)の谷

12銘柄を並べ終えての正直な感想は、「上場日に買う」は思っていたよりずっと分が悪い勝負だった、ということ。教訓を一行にすると——「上場日に買うなら、−50%の谷を数年単位で耐えられる金額だけにする。それが無理なら、S&P500のほうが期待値は高い」。地味な結論ですが、データを並べてみる限り、そう見えます。

で、「自分は買うのか?」と聞かれたら——私は怖くて買えません。上の4シナリオを眺めて、100万円が42万円や8万円になっている期間を平常心で耐えられる自信が、私にはないからです。買わずに後悔する可能性も込みで、それが私の結論です。


まとめ

  • 有名IPO 12銘柄を「上場日に初値買い」→ S&P500に勝ったのは4銘柄(Meta・Arm・Reddit・Robinhood)。5銘柄は元本割れ
  • 全12銘柄が、初値で買った人が含み損になる時期を経験(谷は −16%〜−92%)。例外はゼロ
  • 初値が大きく跳ねた銘柄ほど成績が悪い(Airbnb・DoorDash)。跳ねなかった Robinhood は勝ち組に
  • SpaceX は需要4倍超で初値が飛びやすい状況。買うなら「−50%に耐えられる金額」が前提
  • ちなみに筆者は、怖くて買えません。それも込みでこの記録を残します

本記事は個人の調査記録であり、投資助言ではありません。数値は概算・2026年6月時点。実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。


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